tejado

第六章コウノトリ

国道五号線(またはE九〇号線)をマドリーからポルトガルへ向かって百八十キロ、ナバルモラールの町の手前で左折すると一本車線の道が南に延びている。そして一面にドングリ林と牧草地が交錯した上り坂を五キロほど行くと急に平坦な土地に出る。そこにバルデウンカル村がある。

やたらはっきりとキロ数を書いたがスペインの国道はすべて一キロごとに標示塔が設置されており、車で走る場合この表示を基準にするし、また他人に教える場合もキロ単位で伝えるのであえてキロ数を書くことにした。

村のはずれに大きな教会がデンと構えている。その屋根には七対ばかりのコウノトリが黄色いくちばしを天高く突き上げ、歯切れよくカッカッカッと鳴き立てている。この鳴き声(愛の表現か?)に惹かれ、毎年二月から三月にかけてコウノトリ軍団が越冬先のアフリカから戻る頃を見計らって逢いに出かけることが私の習慣になって久しい。

その年は春の訪れが遅く、例年の十三対が全部そろっていないようだ。でも教会鐘楼の、なくなった釣鐘の跡に営巣しているポン助夫婦はすでに戻っており、一年ぶりに対面できて感激した。

かれらが若かりし頃、巣から足を踏み外すやら、せっかく漁ってきた小魚を落とすやで「ポン助」と命名してやった。

(六)コウノトリ