あとがき

昨年の秋、京都での個展を終えてスペインに戻る折、偶然に現代日本の若者を代表するようなカップルと席が近くだった。

いまや飛行機はバスや鉄道と同様に一般交通機関として手軽に利用されるようになった。そのためであろう。乗客も緊張感がなく、地金でふるまっている。これはすばらしい現象であり、ある意味で文明の進歩といえるだろう。

歴史を振り返ってみても、ギリシャ・ローマ時代にはその文明に相応する秩序というものがあった。日本においても徳川・明治時代にそれないの秩序と美意識があり、精神美と秩序美が備わっていたように思う。

人間という生きものにとって、どう行動し、どうふるまうことがもっとも美しいかと考える。この精神的美意識のありどころが人のもっとも肝心要であることは、いつの時代でもどこの社会でも変わらない。

さて、この二十代前半と思えるカップル。空席の毛布やクッションをかき集め、床に落としても拾おうとせず、先太りの流行の靴でごく自然に踏みつけていた。また機内に持ち込んだサンドウィッチの食べ残し、ミネラルウォーターの飲み残しボトル、チューインガムの包み紙、汚れたティッシュなど、すべて不要なものは足下にポイポイと捨てては踏んでいる。何の抵抗感も抱く様子すらない。客員乗務員も見て見ぬふりで通り過ぎていた。

あとがき